2025年夏、日本の地上波ドラマに“ある大きな変化”が起きています。それは、韓国原作のリメイク作品や、韓国との共同制作ドラマが続々と登場していること。
TBSの新作ドラマ『初恋DOGs』や、読売テレビの『誘拐の日』は、いずれも韓国で人気を博した原作をもとに制作された注目作です。
近年は、Netflixなどの動画配信サービスで韓国ドラマの視聴機会が飛躍的に増えたこともあり、日本の視聴者の間でも「韓国的ストーリーテリング」への関心が高まっています。
その流れを受けて、日本のテレビドラマにも新たな風が吹き込みつつあるのです。
本記事では、2025年夏ドラマに見る“日韓共同制作の波”を詳しく解説しながら、話題の2作品を中心に、その魅力と注目ポイントを掘り下げていきます。
2025年夏ドラマに見られる「韓国原作・日韓共同制作」の急増傾向
2025年夏クールの新作ドラマを見渡すと、例年にはなかった「韓国原作」や「日韓合同制作」というキーワードが目立ちます。
とくに注目されているのが、TBS系の『初恋DOGs』と、テレビ朝日系の『誘拐の日』の2作品です。
どちらも韓国でヒットしたドラマや漫画を原作に、日本向けにアレンジされたものでありながら、原作の持つ骨太なストーリーや情緒的な描写をしっかりと受け継いでいます。
また、主演キャストには日本の実力派俳優とともに、韓国からの俳優も参加しており、まさに“国境を超えたコラボレーション”が実現しています。
背景にあるのは、NetflixやU-NEXTなどを通じて韓国ドラマに親しんできた視聴者層の増加です。視聴者が韓国の映像作品のクオリティや脚本力に慣れた今、テレビ局もその流れに呼応し始めたといえるでしょう。
さらに注目すべきは、主題歌の面でも韓国アーティストや日韓ユニットの起用が進んでいる点です。たとえば『初恋DOGs』では、日韓合同のアイドルグループが歌う主題歌がタイアップされ、音楽ファンからも話題を集めています。
こうした日韓の文化交流は今後ますます加速する可能性があり、2025年夏はその“第一波”ともいえるタイミングなのです。
『初恋DOGs』とは?日韓共同制作で描かれる“初恋”の新たなかたち
2025年夏の日曜劇場枠で放送される『初恋DOGs』は、韓国発のウェブトゥーン(縦読み漫画)を原作としたラブストーリー。
日韓共同制作という形で、日本の制作スタッフと韓国のクリエイターがタッグを組み、両国の感性を融合した新しいドラマ作品として注目を集めています。
物語の舞台は現代の東京とソウル。初恋を引きずる男女が、ある“犬”をきっかけにすれ違いと再会を繰り返すという、純愛×ヒューマン×ファンタジーが絡み合ったストーリーが展開されます。
主人公には、日本で高い人気を誇る女優・清原果耶と、韓国の若手注目俳優・ナ・イヌがダブル主演として出演。
この国境を越えたキャスティングが、作品に一層のリアリティと奥行きを与えています。
また、注目されているのが主題歌と音楽演出。主題歌には、日韓混成のボーイズグループが歌うオリジナル楽曲が起用されており、ドラマの感情的なシーンをより深く彩っています。
SNSでは「主題歌が泣ける」「韓国アイドルが歌ってるのに違和感がない!」という声も多く、ドラマと音楽の相乗効果がバズを生んでいます。
撮影も一部は韓国で行われており、スタッフの技術面でも韓国の制作会社が参加。映像の美しさやテンポ感には、Netflixなどの韓国ドラマで慣れ親しんだ“あの質感”が感じられると評判です。
『初恋DOGs』は、日本のラブストーリーに韓国的な情緒と演出を加えた、これまでにないハイブリッドな作品。
“日韓共同制作”という言葉が形だけでないことを、しっかりと証明してくれるドラマといえるでしょう。

『誘拐の日』の韓国原作とは?リメイクに期待されるリアリティと緊張感
2025年夏、読売テレビ・日本テレビ系で放送される『誘拐の日』は、2023年に韓国で放送された同名ドラマのリメイク版です。
原作は、韓国の作家チョン・ヘヨンによる小説で、緊迫感あふれるサスペンスとユーモアが絶妙に絡み合う物語構成で高い評価を受けました。
本作で誘拐犯=主人公・新庄政宗を演じるのは、斎藤工さん。彼が複雑な心情を抱える“一見不器用で憎めない男”を繊細に表現することで、作品全体に厚みと説得力が生まれています 。
誘拐される側の“天才少女・七瀬凛”には、子役の永尾柚乃さんが起用。記憶喪失の天才少女との緊張感あふれる共演は、日本版リメイクにおける最大の見どころです。
また韓国版はPrime Videoを通じて日本で配信されて話題を呼んでおり、既にストーリーを知る視聴者が多い点からも、日本版に対しては「どうリメイクされるか」が注目の的です 。
音楽面でも注目が集まっており、緊張感を高める重厚なストリングス主体の劇伴に加え、主題歌は日本の実力派シンガーソングライターによる書き下ろし。オリジナルとは異なる“感情の深さ”が表現される点で評価されています。
『誘拐の日』は、単なるリメイクにとどまらず、「リメイクでどこまで原作を超えられるか?」というチャレンジでもあります。
その挑戦をどう受け止めるかは、視聴者一人ひとりの目にかかっているのかもしれません。
なぜ今、日本で「韓国原作ドラマ」が増えているのか?その背景と理由
ここ数年、日本のテレビドラマや配信作品で「韓国原作」や「韓国との共同制作」が急増している背景には、いくつかの大きな理由があります。
● 理由①:韓国ドラマのグローバルヒットによる脚本力への評価
『梨泰院クラス』や『愛の不時着』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』など、韓国ドラマはNetflixを中心に世界的ヒットを記録。
視聴者の間では「ストーリーの展開が早く、感情表現が豊か」「テーマが多様で飽きない」といった評価が高まり、日本の制作側も韓国の脚本や構成力に注目するようになりました。
● 理由②:日本でも“縦読み漫画”やWebtoonの人気が上昇中
近年、韓国発の「ウェブトゥーン(縦読みフルカラー漫画)」が、LINEマンガやピッコマを通じて日本でも大人気に。
これらの作品が次々と映像化される中で、「韓国原作をリメイクする」という手法は、視聴者が親しみやすい選択肢になりつつあります。
● 理由③:配信プラットフォームの拡大とグローバル志向
NetflixやU-NEXT、Prime Videoといった配信プラットフォームの存在も、日韓の制作提携を後押ししています。
地上波ドラマであっても、海外展開を視野に入れたグローバルな作品づくりが求められ、“韓国の人気IP(知的財産)”を日本でリメイクする動きが活発化しているのです。
● 理由④:制作費・演出技術の共有がしやすくなった
日本と韓国の間で制作ノウハウや人材の交流が活発化しており、共同制作が現実的な選択肢になったことも大きな要因。
韓国側の演出力や撮影技術、日本側のキャスティングやローカライズのノウハウが融合し、“良いとこ取り”の作品づくりが可能になりました。
視聴者の声とSNSでの反応|リメイクへの期待と不安のリアル
日韓共同制作ドラマや韓国原作リメイク作品に対して、SNS上ではさまざまな反応が飛び交っています。
期待の声と同時に、不安や懸念の声もあり、視聴者の“リアルな本音”が見えてくるのがこのジャンルの特徴です。
● 「韓国版を観てるから、日本版も楽しみ!」という期待の声
X(旧Twitter)では、
『誘拐の日』の韓国版めちゃくちゃよかったから、日本版の斎藤工にも期待!
『初恋DOGs』の主題歌が日韓ユニットって、センス良すぎる!
といった好意的な投稿が目立ちます。
特に韓国ドラマに慣れ親しんだ層からは、日韓の融合に対する歓迎ムードが感じられます。
● 一方で「リメイクで世界観が壊れないか不安」という慎重な意見も
一方で──
テンポや演出が日本ドラマっぽくなると、韓国版の良さが失われそう……
天才少女のキャスティングが鍵。演技力次第で作品の評価が変わる
といった意見も散見され、原作のイメージをどう活かすかが大きな課題となっているようです。
● 主題歌や映像の質感は好評
特に『初恋DOGs』に関しては、主題歌や予告映像の完成度に対する高評価も多く、
曲と映像がマッチしてて映画みたいだった
清原果耶とナ・イヌ、並んでるだけで美しすぎる
といったビジュアル面での反響も。
Netflixや韓国ドラマで鍛えられた“目の肥えた層”が、リメイク作品にもクオリティを求めていることがうかがえます。
● トレンド入りも視野に
番宣や初回放送に合わせて、「#初恋DOGs」「#誘拐の日」などのハッシュタグがトレンド入りする可能性も。
SNSバズを意識したキャストのSNS投稿や、日韓の俳優同士の掛け合い動画なども注目を集めています。
今後も増える?注目される韓国原作ドラマと日韓コラボの展望
2025年夏に登場した『初恋DOGs』や『誘拐の日』は、日韓共同制作・韓国原作リメイクドラマの“序章”にすぎません。
すでに、今後も複数のプロジェクトが進行中とされており、日本のテレビドラマにおける“韓国IP旋風”はさらに加速する可能性があります。
● 日本でも映像化されそうな韓国原作作品とは?
現在、日本の出版社や配信会社が注目している韓国作品には以下のようなタイトルが挙げられます:
- 『キルミー・ヒールミー』:多重人格をテーマにしたヒューマンドラマ。日本版キャスティングの予想もSNSで話題に。
- 『この恋は初めてだから』:契約結婚ラブストーリー。ウェブトゥーン原作も人気。
- 『サイコだけど大丈夫』:メンタルヘルスと愛を描いた作品で、日本でも熱狂的ファン多数。
これらの作品は、NetflixやU-NEXTなどのプラットフォームで既に一定の視聴者を獲得しており、日本での実写化や共同制作への移行も時間の問題と見られています。
● 日韓のキャスト・スタッフの交流も加速
最近では、日韓合同の演技ワークショップや、制作プロデューサー同士の提携も増えており、
「日韓の混成キャスト+国際チームで作る地上波ドラマ」も徐々に珍しいものではなくなってきました。
例えば、今後予定されている大型プロジェクトには、韓国人脚本家による日本向けオリジナル脚本ドラマや、Netflix用日韓合作SFスリラーなどが挙げられています。
● 若年層の視聴スタイルが変化している
Z世代や20代の視聴者は、地上波よりもTikTokやYouTubeのショート動画、Netflixなどのオンデマンド視聴に慣れており、
“テンポの速い展開”や“映像の質感”を重視する傾向があります。
この層にアプローチするためにも、韓国発コンテンツのような感情豊かでスタイリッシュなドラマは今後ますます重宝されていくでしょう。